はじめは74校あった法科大学院ですが、新司法試験自体の合格率の低さや、予備試験制度の実施、今後の合格者数自体の減少、法科大学院に通うことによる経済的負担などの原因により、法科大学院の人気の凋落、定員割れ、補助金削減がさまざまな法科大学院で起こり、廃止や募集停止へと至っています。
平成27年現在で、下記の29校の法科大学院が廃止、統合、募集停止になっています。
2016(平成28)年度以降の学生募集停止を決定している法科大学院も含みます。
つまり平成27年度現在に募集している法科大学院は、45校です。
平成26年現在、姫路獨協大学法科大学院のみが廃止となっていますが、
募集停止を表明している法科大学院は今後廃止の流れになるのは必至だと思われます。
さらに司法試験合格者数の削減や、予備試験に流れる傾向などから、
すでに定員割れや補助金削減されている法科大学院は、定員を削減など対策を行ったとしても、
募集停止の流れになる可能性は相当程度高く、今後もそのような法科大学院は増えていくと思われます。
募集停止や廃止を決定した法科大学院に共通する点は、学生が集まらず、定員割れしたということです。
(入学定員充足率が著しく低い)
学生が集まらない原因としては、累計合格者数や通算の合格率を見てみるとよくわかります。
累計合格者数にしても通算平均合格率にしても、下位に集まっています。
法科大学院制度がはじまり新司法試験になっての平均合格率が1ケタラインですと、
上位法科大学院が3割から6割程度合格している中、学生が集まらないのも当然といえば当然かもしれません。
新司法試験合格率が全国平均の半分未満は、公的支援が減らされる要件の一つです。
もう一つの要件は前年度の入学者選抜における競争倍率(受験者数/合格者数)が2倍未満です。
両方に該当すると公的支援が見直されます。
要は補助金が減らされます。
●参考資料
文部科学省 法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しについて
成績低迷、定員割れ、公的支援見直し。
これらに当てはまる法科大学院が募集停止、廃止となってます。
さらに旧司法試験においても合格者をあまり出していない大学であるというのも共通しています。
旧司法試験において高い実績を出している名門大学は、新司法試験になっても名門であるのに対して、
旧司法試験であまり実績がない法科大学院が続々と誕生しているというのがそもそも無理があったのかもしれません。
法科大学院自体の人気が制度発足当時に比べて下がっており、全体の志願者数が年々減少しています。
このことにより通算の平均合格率が高い法科大学院でも定員割れは起こっているようです。
定員割れしてない法科大学院のほうが圧倒的に少なく、多くの大学が入学定員を削減し、
入学定員総数を大幅に減らしたとしても入学者が少ないようです。
●参考資料
文部科学省 平成26年4月1日現在 各法科大学院の入学者選抜実施状況等
内閣官房 法曹養成制度改革顧問会議 法科大学院別司法試験累計合格者数等の定員充足率欄
上記の参考資料の文部科学省を見てみると、例えば平成26年の各大学の入学定員充足率は全体で0.6です。
全体で定員の6割しか入学者がいないということです。
(入学者総数2,272名÷入学定員総数3,809名=0.596)
平成26年の入学定員充足率が1を超えたところを抽出してみると、
筑波大(1.03)、千葉大学(1.10)、一橋大学(1.04)、京都大学(1.01)、大阪大学(1.00)、首都大学東京(1.08)のみです。
東京大学や慶応義塾大学、神戸大学、中央大学、北海道大学、名古屋大学、早稲田大学など合格率上位大学も入学定員充足率が1未満です
(といっても9割前後)。
実績が低い=定員割れというのは一概には言えないということがデータによりわかります。
全体の入学定員充足率の推移を見てみると、
平成21年(0.84)→平成22年(0.84)→平成23年(0.79)→平成24年(0.70)→平成25年(0.63)→平成26年(0.60)
と下がり続けていますので、ここからも法科大学院の低迷ぶりが伺えます。
司法試験予備試験という法科大学院を経ずとも新司法試験の受験資格が得られるルートが平成23年から始まりました。
法科大学院への出願者が減り続ける中、予備試験の出願者は増え続け、上回りました。
●参考資料
新司法試験、予備試験結果データ・統計
さらに、予備試験合格者による新司法試験の結果が素晴らしい結果となっており、
合格率はどの法科大学院より高く、2位の法科大学院より10%以上高い結果を出しています。
予備試験自体に合格するのはかなり難しいですが、経済的にも法科大学院に進むより低コストで収まり、
合格してしまえばどの法科大学院より合格する確率が高いということで、
こちらに流れる受験生が増えたとしても不思議ではなく、
法科大学院定員割れの原因の大きなファクターといえるでしょう。
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